土地の無償返還の届出書を提出するとどんな いいことがある?
ずばり!!法人税(B社)の節税と、相続税(A社の社長Aさん)の節税になります。
詳しくみていきましょう。
なぜ、この『土地の無償返還の届出書』を提出するのかについて説明していきます。
前提として、『借地権』の概念と『貸宅地』の概念の理解が必要です。
この記事では、
✅借地権
✅貸宅地
✅土地の無償返還に関する届出書
の順に解説していきます。
この記事を読むと、土地の無償返還に関する届出書を提出する必要性が理解できます。
借地権とは
借地権とは、建物を建てるために地代を払って他人から土地を借りる権利のことです。
(※建物がない駐車場や資材置き場などは含まれません。)
✔借地権の5つの特徴
- 土地の権利は地主にある
- 地主に対して地代を払う
- 借地に建てた建物を無断売却できない
- 建て替えは事前に地主へ連絡する
- 契約期間満了時は更地にする
借地権をもっと理解しましょう!
例えば・・・
✅Aさん保有の自用地1億円の土地があります。
✅ 1億円の土地 に建物をたてる目的でB社に貸す場合、
✅借地権割合は60%とする。
✅借地権は6,000万円(B社)
✅貸宅地の評価額4,000万円(Aさん)となります。
貸宅地とは
貸宅地とは、その土地の上に建物を建てて使用することを目的として第三者に貸している自分の土地のことをいいます。
無償で貸している場合(使用貸借)も貸宅地には該当しません。
貸宅地の評価額 = 自用地の評価額×(1-借地権割合)
土地の無償返還に関する届出書とは
土地の無償返還に関する届出書のキーワードが出できたときは、次のことを頭にイメージしてください。
✅法人(B社)がでてくる。
✅社長個人(Aさん)の土地を社長の会社(B社)が借りる。
Aさんの土地 = 1億円
1億円のAさんの土地にB社が建物を建てました。
すると、土地の価格(※)が1億円ではなくなります。
相続税評価でいうところの『自用地』から『貸宅地』になったことで評価額が下がるからです。
借地権割合が60%だとすると、Aさんの土地の価格(※)は4,000万円になります。
※は相続税評価額
●貸宅地の評価額 = 自用地の評価額×(1-借地権割合)
● 4,000万円 = 1億円 ×(1-60%)
本来であれば、1億円の価値の土地の価格が4,000万円になったということは、建物を建てたB社はAさんに6,000万円の権利金を支払うべきです。
しかし、権利金は払いたくない。
権利金を払いたくなければ、相当の地代を払いなさい。
相当の地代を、B社→Aさんに払う場合、権利金の認定課税は行わない(相当の地代通達 昭和38年)というのが相当の地代通達がうまれた背景です。
しかし、疑問なのが社長個人が土地をもっていて、会社が社長個人にお金を払うのはおかしいのでは?と思いませんか。
税務当局の言うとおり、国民のみなさんは相当の地代を払ってきました。
ただ、地価があがるにつれて相当の地代を払うのは大変になってきた時代背景の結果・・・
そこで、でてきたのが『土地の無償返還に関する届出書』です。(無償返還届出の制度 昭和55年)
土地の無償返還に関する届出書を提出することで借地権の認定課税が免れます。(900万円の節税)
借地権の認定課税がされると、6,000万円×法人税率15%(800万以下)=900万円
相続税評価額は
土地の無償返還に関する届出書を出している土地の評価は、借地権の価値はゼロです。
底地の評価は次の算式によります。
自用地としての価額 × 80/100
1億円の自用地に、建物をたてる目的で土地を借りた場合。
無償返還の届出書を出しておくことで8,000万円の相続税評価額となる。
覚えておきましょう。
まとめ
土地の無償返還に関する届出書がでてくるまでに、いろいろと時代背景があることがわかりました。
土地の無償返還の威力は理解できましたか。
今後、地主さんが不動産賃貸の会社の社長になり建物をたてる場合には、
土地の無償返還の届出書を忘れずにだしておくことで法人税、相続税のどちらの節税も可能となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
信頼ある税理士の先生により詳しくきくことも可能です。
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